国産のサックスのメーカーはヤマハだけでなく、東京にあるヤナギサワサックスも古くから愛好者が多く、歴代モデルの中で、世界初のシルバーソニック製のサックスを発売したり、902、992シリーズという銅製のベルをレギュラーラインナップしたりと常に良質なサウンドを求めてきているメーカーです。
1.ヤナギサワ(Yanagisawa)のサックスの特徴
ヤナギサワサックスは、1954年に初めてのテナーサックス「T-3」を製作したことから始まりました。その後、1956年にはアルトサックス「A-3」を発表し、1968年には日本初のソプラノサックス「S-6」を完成させました。この「S-6」は、当時人気のセルマーマーク6を意識したテーブルキーなど工夫され、今でも「S-6、S-6R」は中古品の中でも引き合いが高いです。1977年には、ソプラニーノからバリトンまでの5種類、15機種の楽器を発表し、国内外で高い評価を受けました。
1980年代には、「エリモナ」シリーズ(モデルNo.800)や、世界初のネックをストレートとカーブドに交換できる、デタッチャブルネックのソプラノサックス「S-880」を発表し、さらに進化を遂げました。この「S-880」はネックがゴールドメッキ(所謂、GP:ゴールドプレート)製が標準仕様で、大きく強い音量と柔らかな音色が今尚人気です。
1990年代には、900シリーズや990シリーズが登場し、シルバーソニック(純銀製)モデルの「9930」などが発表されました。2000年代以降も、総管体シルバーソニック(純銀製)銀製のアルトサックス「A-9937」や、テナーサックス「T-9937」など、革新的なモデルを次々と発表しています。
2,ヤナギサワサックスのユニークなモデル
ユニークなモデル
ヤナギサワサックスの中でも特にユニークなモデルをいくつかご紹介します。
- A-9937: 総管体銀製のアルトサックス、シルバーソニックにクリアラッカー、パーツはゴールドラッカーとなっており、シルバーとゴールドの2トーンとシルバーのシルバーの上の彫刻も素晴らしいモデルです。美しい輝きと豊かな音色が特徴で、ゴールドプレート(金メッキ)、ピンクゴールドプレートと並ぶ、トップモデルの一つです。
- T-9937、S-9937含め、現在のWOシリーズにもこのシルバーソニックモデルが引き継がれています。
・S-880: 世界初の交換式(デタッチャブル)ネックを採用したソプラノサックス。ネック金メッキ(GP:ゴールドプレート仕上げで、華やかな外観とクリアな音色が特徴です。
- B-9930BSB: バリトンサクソフォンの最高峰と呼ばれるモデル。管体の素材はブロンズブラス製で、パーツ類に金メッキ仕上げが施されています。
まとめ
ヤナギサワサックスは常にプレイヤーのニーズに応えるサックスを提供しています。T-50やA-50など初心モデルですが、芯のある音色が出せるものから、ネック交換できるソプラノが象徴的なエリモナシリーズ、ブラス製で人気のあった900シリーズなど革新的な楽器メーカーだと思います。現在はWOシリーズが少々お値段も高額なこと、ゴールドプレートモデルが金の原材料高騰で製造中止中という事情もあり良質な中古品を探される方も多いようです。
私が過去、所有していたモデルは、アルトサックスA-50(初めてのサックスでした)、ソプラノサックスS-880エリモナ(初めてのソプラノでした)、ソプラノサックスS-6SP、カーブドソプラノSC-992(ブロンズ製)、ソプラニーノサックスSNー880エリモナ、テナーサックス T-50、テナーサックスT-902、アルトサックスA-9937(シルバーソニック製)と多いです。